女流記者バートンはABCショップで新聞を読むのが習慣だった。
バートンが迷宮入りした事件の記事を読んでいると、相席の老人は言った。
「事件に謎などない。私にとっては」
そうして警察を惑わせる数々の事件を隅の老人は軽々とバートンに解き明かして聞かせるのだった。
「フェンチャーチ街の謎」
「地下鉄の怪事件」
「ミス・エリオット事件」
「ダートムア・テラスの悲劇」
「ペブマーシュ殺し」
「リッスン・グローブの謎」
「トレマーン事件」
「商船<アルテミス>号の危難」
「コリーニ伯爵の失踪」
「エアシャムの悲劇」
「≪バーンズデール荘園≫の悲劇」
「リージェント・パークの殺人」
「隅の老人最後の事件」
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