太田忠司「忌品」

「物」をテーマにしたホラー短編集。

「眼鏡」
文学者だった父の老眼鏡。これを通すと世界は一変した。

「口紅」
入院患者は仲睦まじい夫婦で毎日口紅を付けて夫の見舞いを待っていた。その仲を妬んだ看護婦は夫に近づくが。

「靴」
隣人には小さな子供がいるらしい。死んだ幼い娘のための靴を隣人にあげたところ、キュッキュッと靴の音が身辺につきまといだした。

「ホームページ」
高校時代の恋人の葬式の後、何者かから知らされた彼女のホームページ。それはなぜか彼女の死後も更新されていた。

「携帯電話」
目の前で電車に飛び込み自殺した男の携帯電話に記録された美女の写真。携帯電話を拾った若者は彼女に会いに行くが。

「スケッチブック」
幼い子供による猟奇殺人。彼女のスケッチブックには黒い人影が彼女自身を黒く染める様子かかれていた。

「万華鏡」
芸術家を輩出する一族の中で、少女は自らの才能のなさを痛感していた。しかし誕生日に憧れの叔父から渡された死んだ叔母が作った万華鏡が見せたものは。

「手紙」
病床でつづられた手紙には夢に出てくる魔犬のことがかかれていた。

前半４話については物足りなさを感じる。書き方がミステリっぽいのか、合理的解決が欲しくなるのだ。
後半３話にはそのような感じはないが。万華鏡なんかは結構幻想小説っぽくて解決が欲しいとは思わない。
眼鏡と万華鏡とは方向が似ている。