江戸川乱歩「江戸川乱歩全集３ パノラマ島奇談」(講談社)

「パノラマ島奇談」
死んだ資産家と入れ替わり、彼の財産を使って夢の理想郷を現実に作り上げたある男の話。

「一寸法師」
知人の娘が行方不明に。しかもその時娘の部屋は密室であった！
腕を川に捨てるのを目撃された小さな男、デパートのマネキンに死人の腕をつけた小人は何者か、その腕の持ち主は娘なのか。
上海帰りの奇怪な探偵明智はいかに解き明かすか？

「木馬は廻る」
回転木馬の中年喇叭手は同じく木馬の切符きりの娘に淡い恋心を抱いていた。ある時若い男が娘に手紙を渡すのを見た喇叭手は、娘が気づく前に手紙をこっそりと奪うが。

「陰獣」
かつての恋人である薄気味悪い推理小説家からの脅迫。監視しそれを事細かに手紙に記し送りつけてきたが、ついに夫が不審な死に方をする。小説家の仕業なのか？　しかし――主人公の作家がたどり着く結論は。

「虫」
引きこもって気ままに暮らしていた極度に恥ずかしがり屋の男が唯一の友人の紹介で初恋の女性と再開、再び恋に落ちた。しかし彼女が彼を本当は馬鹿にしていたことを知って殺害してしまうが、腐っていく遺体を目前にして恐慌に陥る。