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ミステリ傑作選とは言うものの・・・

「開化の殺人」
ロンドン留学から帰ってくると、密かに思いを寄せていた従妹はろくでもない男と結婚していて・・・従妹の幸せを願い、その夫を殺して彼女の本来の婚約者であった友人と結婚させようともくろんだ男の手記。

「奉教人の死」
教会で育てられた孤児「ろおれんぞ」は傘張りの娘を孕ませたと咎められ、教会を追い出されるのだが――

「開化の良人」
本多子爵の友人は「愛のある結婚」を夢見て長く結婚せずにいたが、漸く理想の結婚をしたようであった。しかしその妻にはなにか奇妙なところがあって。

「疑惑」
大地震で家が倒壊し、火の手が上がっている中、彼は梁の下敷きになっている妻を、生きながらに焼け死ぬくらいなら、と撲殺したのだった。しかし、時を経るにつれて本当は殺意を持って妻を殺したのではないかと思えてきて・・・

「魔術」
友人のインド人は魔術の大家。頼み込んで彼から魔術を教わったのだが、彼は魔術を使うものは欲を捨てねばならないのだと言う。

「未定稿」
新聞社の先輩記者・本多保はその風采の上がらない外見とは裏腹に、恐ろしく頭の切れる人で、私は彼の推理力に感服し、助手役を務めるようになった。そんな本多の元に舞い込んだのはある殺人事件の話で。(未完)

「黒衣聖母」
その黒檀に彫られたマリヤ観音は、福を転じて禍となすのだと言う。友人の家で本当にあったと言うそのマリヤ観音の災いとは。

「影」
中国人実業家・陳彩の元に、妻が不倫をしている、と言う告発の手紙が幾度も届いていた。気になった陳彩はこっそりと家の様子を伺うのだが。

「妙な話」
戦役中の軍人の妻は電車の中で赤帽(駅で荷物運びをする係員)に話しかけられ、夫からの手紙が来ないと言うと赤帽は見てきましょう、と言ってどこかへと消えてしまった。彼女は赤帽の顔をどうしても思い出せないことに気づいて気味が悪くなったが、今度は突然夫の近況を教える声が。そんな事が幾度か続いて。

「アグニの神」
アグニの神を祭るインド人老婆の占い師が神のよりしろに使っている娘・恵蓮は誘拐された日本領事の娘であった。領事の書生は彼女を見つけて連れ戻そうとするが、老婆の魔法に太刀打ちできず追い返されてしまう。娘は何とか逃げ出そうと、神が乗移った振りをすることにした。

「奇怪な再会」
お蓮は牧野の妾となって暮らしていたが、行き分かれた恋人の金が忘れられずにいた。あるとき、何気なく占い師をたずねてみると、金と再会するのは無理だろうが、東京が森になれば再会できるかもしれない、と告げられて。

「藪の中」
道をそれた藪の中に残された侍の死体。そこで何があったのか、証言は食い違っていて。

「報恩記」
大盗賊が昔の恩を返そうと、店の経営の建て直し資金を用意してやった。その店の息子は放蕩者であったが、その盗賊のことを知って・・・

+ + + + + + + + + +
「開化の殺人」やら「疑惑」なんかは江戸川乱歩ぽい感じもするけれど、「アグニの神」とかどうしてここにいれたのかが分からない・・・。
「奉教人」は、ある意味では性別トリックなのか?
「藪の中」はもしかするとこの中では一番それらしいのかもしれないけれど、ミステリとしては落ちがないと成立しない気がする。
「未定稿」ってほんまに未定やん。完成してればいいのにね。何か読んでやりたくなったけれどネタが思いつかなかったとか・・・?
やっぱりミステリ傑作選としてくくるのは何か間違っている気がしてならない。
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