麻耶雄高「鴉」

弟が殺される半年前に滞在していたらしい埜戸村を訪れた珂允。
「大鏡」という現人神によって、その村は外界と隔てられ何百年も昔のような生活をしていた。
身元を隠して弟の死の原因を探っていた中、新たな殺人事件が起こり...最後にメルカトルが明かす驚愕の真実は。

横溝正史「本陣殺人事件」

岡山県のある農村の名士の跡取りがついに結婚することになった。相手は元小作人の娘。家柄違いと反対を受けながらもなんとか説得したのだが、結婚した翌朝、夫婦は惨殺死体となって発見された。そしてその現場は密室で...!?

アガサ・クリスティー「スタイルズ荘の怪事件」(能島武文・訳 角川文庫)

資産家の老婦人エミリーはつい先頃二十も若いアルフレッド・イングルソープと再婚した。
スタイルズ荘に同居する家族たち、エミリーの息子、ジョンとローレンス、彼女が後見する娘シンシア、ジョンの妻メアリー、更にはアルフレッドのいとこであるエヴァもこの若い夫に騙されているのだと説教するが、エミリーは全く聞く耳を持たなかった。そしてある夜、ついにエミリーは毒殺されたのだった。
ジョンの友人としてスタイルズ荘に逗留していたヘイスティングスは偶然にも村でポワロと遭遇、ポワロが事件の解決に乗り出す。
割れたコーヒーカップ、ストリキニーネ、燃やされた遺言書、数々の証拠はいかに事件に関わったのか？

江戸川乱歩「孤島の鬼」

　密室で殺された恋人の敵を打つため、友人の探偵に依頼した主人公であったが、その探偵もまた何者かに殺されてしまった。
　探偵が彼に残した大きな壷は一体事件にどのような関係があるのか。殺された恋人の婚約者であり、主人公に気があるらしい医学生と事件の真相を探っていくうちにたどり着いた恐ろしい事実とは。

　the 江戸川乱歩！
　いつもながら、なんておどろおどろしく気味の悪い美しい話を書くものか。
　さすが傑作の評判も尤も、か。
　･･･それにしてもこの時代に乱歩がBLかいな。医学生のキャラクターは素敵ですが。

G.K.チェスタトン「詩人と狂人たち」福田恒在訳 創元社文庫

「おかしな二人連れ」
奇行の画家と彼を売りだそうとするビジネスマンの二人連れが寂れた宿屋にやって来て...

「黄色い鳥」
居候の黄色い髪のロシア人学者に従姉妹がいれ込んでいると嘆く友人につれられて学者に会いに行くゲイルらだったが。

「鱶の影」
足跡のない砂浜で老人が殺された。遺産の受け取り人たちが怪しいが、果たしてどのように老人に近づいたのか？　ゲイルは死体の近くにあったヒトデから真相に気づく。

「ガブリエル・ゲイルの犯罪」
好青年を嵐のただ中で木に縛り付けたゲイル。
遂に彼も気が違ってしまったのか？

「石の指」
教会と科学奉信者が対立する町で高名な科学者が行方不明に。

「孔雀の家」
荒れた家に不釣り合いな孔雀がいて、つい掛かった梯子を登って家に忍び込んでしまったゲイルだったが、家の主はなぜか彼を奇怪な夕食会に招待して。

「紫の宝石」


「危険な収容所」
ゲイルの恋人が雇われた場所は...

若竹七海「猫島ハウスの騒動」

入り江におかれたシャブ猫の死体が見つかってから、長閑な猫島では奇跡的な落下事故やら謎の伊達男やら不穏な空気が。
ペンション兼土産物屋猫島ハウスの看板娘にやる気のない警官と猫アレルギー刑事、腹黒そうな神主や家造りに励むイラストレーターらちょっと変わった住民たちが織りなすコージーミステリ。

J.D.カー「囁く影」(斎藤数衛:訳 ハヤカワ・ミステ リ文庫)

６年前、フランスで誰も近づくことのできない塔の上で男が刺殺された。犯人はいかにして被害者に近づいたのか。息子の婚約者フェイ・シートンが疑われたものの、釈放。しかし彼女が吸血鬼だという噂が。

東野圭吾「名探偵の呪縛」

ミステリ作家の私は図書館で資料を探しているうちに天下一という探偵になっていた。盗掘事件の解決をその町の市長に依頼されて調査を開始した私だが、次々に小説のような殺人事件に遭遇して。

G.K.チェスタトン「木曜の男」(福田恒在:訳 創元社文庫)

警察の思想犯対策の特殊班に雇われて、共産主義団体にスパイとして潜り込むことになった主人公。そこには日曜から土曜の７人がいて、まんまと木曜になるものの、初会合で火曜がスパイだと断罪されて。
怪奇スリラー？

A.C.ドイル「シャーロック・ホームズの叡智」（延原謙：訳 新潮文）

「技師の親指」
「緑柱石の宝石」
以上「冒険」より。割愛。

「ライゲートの大地主」

「ノーウッドの建築士」
突然その大建築士の相続人に指名された若い弁護士。しかし書類を作ったそのすぐ後に建築士は殺害されてしまい。

「三人の学生」
試験の問題を盗み見たのは３人の寮生の誰なのか。

「スリー・クォーターの失踪」
フットボールチームのエースであるスリー・クォーターが行方不明に。責任感の強い彼が試合の前日に姿を消すとは思えない、とキャプテンはホームズに助けを求めた。

「ショスコム荘」
フォールダー夫人には借金を抱えた兄がいた。兄の有能な馬がもうすぐ初試合、というあるとき、兄弟げんかをしたと見え、それまではその馬をかわいがっていた夫人は突然馬に見向きもしなくなり、兄は夫人の大切にしていた犬を人にやってしまった。

「隠居絵具屋」
自分の財産を持って妻が駆落ちしてしまった、と老絵具屋が相談に来た。しかしその依頼人には少し不可解なところがあって。