倉知淳「幻獣遁走曲」

猫丸先輩のアルバイト事件簿。

「猫の日の事件」
猫のコンテスト会場で指輪が消えた！　しかも現場は全ての出入り口に人がいて、不審人物は通らなかったという。そこで猫丸は猫だらけの会場でなぜか魚を焼き始め。

「寝ていてください」
新薬のモニターとして３日間病院で過ごすことになった４人のアルバイター。しかし、その１人が検査に行ったきり帰ってこない。さらに看護士が慌ててやってくると彼のベッドを片づけてしまう。まさか、彼は副作用で死んでしまい、病院がそれをなかったことにしようとしているのでは？

「幻獣遁走曲」
幻獣を捕まえる手伝いという怪しげなアルバイト。延々とその幻獣が住むという沼を草刈りしていると、どこからか煙が。隊長が幻獣の証拠として持ってきた古い手紙が燃やされてしまったのだ。

「たたかえ！　よりきり仮面」
スーパーのヒーローショウ。休憩中にヒーローの着ぐるみの中にガムが入れられてしまった。毎回熱心に見に来ている少年のいたずらなのだろうか？

「トレジャーハント・トラップ・トリップ」
激安松茸狩。小さな募集記事に気がついて参加した５人。アルバイト猫丸の案内で道に迷いつつも穴場にたどり着いた一行は大量の松茸をとっていくが、目を離した隙に全員で集めた松茸が半分に減っていた？

若竹七海「悪いうさぎ」

フリー調査員・葉村昌は家出少女を説得する仕事を手伝うことになったが、組んだ新人調査員が暴走して怪我を負わされてしまう。
ようやく退院すると、その家出少女の友人の失踪を調べることになり、さらに次々に面倒を背負い込むことに。

笠井潔・編「八ヶ岳雪密室の謎」

推理作家と編集者が集まるスキーツアーで本当に出現した不可解な密室。
ロッジの錠を外しておいたはずなのに、いざ入ろうとするとなぜか鍵がかかっていたのだった。
管理者を呼んで開けさせたが、中にはいると渡されていた鍵は中に残されたまま。合い鍵はフロントで管理されている。窓もすべて出入りは不可能。
一体どうして密室が？

鮎川哲也「王を探せ」

殺人事件に浮かび上がったのは恐喝されていた男・亀取二郎。しかし彼についての情報は名前のみ。調べた結果その亀取氏の候補は4人に絞られたが、全員にアリバイがあったのだった。
しかし捜査中にさらにもう一件殺人が起きてしまう。そこには「王」というダイイングメッセージが残されていた。

姉小路祐「京女殺人法廷」

裁判員制度適応第一号となったのは「平成の京女」という元女優のローカルタレント放火殺人事件だった。
被疑者はタレントと愛人関係にあったプロデューサーの妻。彼女は自首してきたのだが、裁判の冒頭でいきなり犯行を否認、さらに夫を真犯人として名指しした。
新人タクシー運転手、主婦、料理屋たち選ばれた裁判員らは嫌々ながら参加しているものが大半だったが、二転三転する裁判に真相が何なのかを真剣に探し始めた。

石崎幸二「あなたがいない島」

櫻藍女子学院高校のミステリ研顧問である石崎はミステリ研のミリアとユリに連れられて心理学実験に参加することに。
実験は一つだけ私物を持ち込んで無人島で5日間を過ごすという奇妙なもの。無人島は冷房完備で食事も供され、参加者たちは不自由なく楽しく過ごしていたが、突然参加者のひとりが行方不明になり、続いて主催者の助手も消える。そしてついに殺人が起こって。

法月綸太郎「犯罪ホロスコープ 六人の女王の問題」

牡羊座「ギリシア羊の謎」
ホームレス狩りはなぜジャケットを奪ったか？

牡牛座「六人の女王の問題」
奇妙な辞世の句に託されたメッセージとは？

双子座「ゼウスの息子たち」
二組の双子夫婦と脅迫者を殺した「偽物」

蟹座「ヒュドラ第十の首」
残されたゴム手袋と軍手。妹を自殺に追いやった不倫相手は誰か。

獅子座「鏡の中のライオン」
殺された女優のバタフライピアスの逆密室。

乙女座「冥府に囚われた娘」
水中毒で昏睡した友人からのメールとその彼氏の熱中症死の謎。

江戸川乱歩「江戸川乱歩全集３ パノラマ島奇談」(講談社)

「パノラマ島奇談」
死んだ資産家と入れ替わり、彼の財産を使って夢の理想郷を現実に作り上げたある男の話。

「一寸法師」
知人の娘が行方不明に。しかもその時娘の部屋は密室であった！
腕を川に捨てるのを目撃された小さな男、デパートのマネキンに死人の腕をつけた小人は何者か、その腕の持ち主は娘なのか。
上海帰りの奇怪な探偵明智はいかに解き明かすか？

「木馬は廻る」
回転木馬の中年喇叭手は同じく木馬の切符きりの娘に淡い恋心を抱いていた。ある時若い男が娘に手紙を渡すのを見た喇叭手は、娘が気づく前に手紙をこっそりと奪うが。

「陰獣」
かつての恋人である薄気味悪い推理小説家からの脅迫。監視しそれを事細かに手紙に記し送りつけてきたが、ついに夫が不審な死に方をする。小説家の仕業なのか？　しかし――主人公の作家がたどり着く結論は。

「虫」
引きこもって気ままに暮らしていた極度に恥ずかしがり屋の男が唯一の友人の紹介で初恋の女性と再開、再び恋に落ちた。しかし彼女が彼を本当は馬鹿にしていたことを知って殺害してしまうが、腐っていく遺体を目前にして恐慌に陥る。

森博嗣「ゾラ・一撃・さようなら」

元政治家が殺される前に「天使の演習」というものを彼の元から取り戻して欲しい。
若い女からの依頼で取材を口実に近付くことに。
彼は有名な殺し屋ゾラに狙われているという。
恐ろしく厳重な警備の下でいかに狙撃手ゾラは彼を撃つというのか。

笠井潔「サマー・アポカリプス」

カタリ派の遺産発掘計画に反対する脅迫状、そして実際に発掘計画の出資者ロシュフォール邸でドイツ人骨董商が殺害される。カタリ派の教義を描く石球で撲殺された上、矢で射殺されていた死体、厩で撃ち殺された白馬は黙示録を示すのか？