ブルース・スターリング「蝉の女王」(早川文庫/小山隆訳)

テクノロジーが爆発的に発達した時代、宇宙へと進出し地球から独立した人類は遺伝工学により優秀な人間を生み出す『工作者』勢力と人体と機構とを融合させる『機械主義者』勢力とがしのぎを削っていた。

「巣」
工作者アフリールは鉱物資源に恵まれた小惑星の調査に派遣された。その星に生息する群体という知性のない社会性生物を先に赴任していたミルヌイとともに利用して暮らすことに。

「スパイダー・ローズ」
辺境で独りぼっちで暮らすスパイダー・ローズの元にやってきた商業主義の異星人『投資者』は彼女の持つ巨大な宝石と引き換えに、ペットを預けた。

「蝉の女王」
追放された投資者『蝉の女王』の元に各勢力からの亡命者が集まるCK。CKの市民『蝉』の一員としてようやく認められた工作者のランダウだったが、直後に中枢部の不穏な動きに巻き込まれて。

「火星の神の庭」
CKの惑星改造計画の後身TKは今や<投資者>からも一目置かれる大きな勢力となり、落ちぶれた小勢力を支配下にしていた。ミラゾルは

「<機械主義者/工作者>の時代――二十の情景」

エリザベス・フェラーズ「私が見たと蝿は言う」(長野きよみ訳/ 早川文庫)

中期のフェラー作品。
ロンドンのリトル・カーベリー通りにある安アパート。ケイの隣に引っ越してきたパメラは部屋にガスを通すことに。しかしその工事中にリボルバーが見つかる。しかもその銃で前の住人が射殺されていたのだ！

横山秀夫「ルパンの消失」

15年前の女教師の自殺は殺人だった。たれ込みで再捜査が始まったが、時効まであと１日。果たして間に合うのか？
試験問題を盗み出す『ルパン計画』のために事件当夜、学校に忍び込んでいた不良高校生３人組の証言から真相が導かれる

パトリシア・コーンウェル「検死官」

リッチモンド市で続く残虐な連続強姦殺人。被害者たちは職業も住む地域もばらばらでに繋がりは見いだせない。数少ない手がかりは遺体に残された謎の蛍光物質。検死局長のケイはこの蛍光物質の正体を探し求めるが、捜査情報の流出や紛失が起きて。過労でミスしたのか、それとも何者かの妨害か？

エラリー・クイーン「Xの悲劇」(鮎川信夫訳/創元推 理文庫)

満員電車でロングストリート氏が毒殺された。凶器は毒針がみっしりと刺されたコルクボール。即座に始まった警察の捜査だったが、不審な人物も行動も物品も見つからない。
そこでサム警部とブルーノ検事は、以前事件解決の糸口を見いだした、元俳優のドルリー・レーン氏に出馬を依頼する。
しかし、すぐさま匿名の証言者が殺害される第２の事件が。

映画「Alice in Wonderland」

ゴールデンウィークの最終日、長期休暇なのに何もなしに終わるのがあまりにも残念なので去年近所にできた映画館に初潜入してきた。

で、「Alice in Wonderland」

正直なところ、ストーリーがあまりにもよろしくない。
キャロルの不思議の国を見事にぶっ潰してくれてしまった。
中途半端に現実的な筋なんてつけなければいいものを。もっと飛んでいるべき。
引き換え、映像自体はきれい。
しかし3Dはなんて眼が疲れるんだ……特にめがねの人間のことも考えてほしい……。

乙一「君にしか聞こえない」（角川スニーカー文庫）

「Calling You」
人恋しさに頭の中に作り出した携帯電話。想像上の電話だった筈なのに、着信が？

「傷　-KIZ/KIDS-」
侮辱に腹を立てて手を出してしまったために危険だと判断されて

「華歌」
入院中、中庭で見つけた小さな花。病室で育て始めると、花から歌が聞こえるようになって。

スティーブン・キング「スタンド・バイ・ミー」

『恐怖の四季』夏の物語と冬の物語。

「スタンド・バイ・ミー」
12歳の少年たちは、行方不明になっていた少年の轢死体を見に、冒険の旅に出る。

「奇譚クラブ」
上司に連れられて訪ねたクラブはメンバーが物語をする習わしがあった。特にクリスマスにはとっておきの話を。
その年のクリスマスは今まで話していない医師がその大役を引き受けた。彼が話したのはかつて担当した妊婦の物語だった。

谷崎潤一郎「細雪(上・中・下)」(新潮文庫)

蒔岡家は零落しつつはあったが関西の名家である。本家を継ぐ長女・鶴子の夫と仲の悪い三女・雪子と四女・妙子は芦屋に住む次女・幸子夫婦の元で暮らしていた。
雪子はなぜか見合いに失敗しつづけて、適齢期を過ぎても未婚でいた。一方妙子は駆け落ち騒ぎを起こしたり、人形作家になったり姉妹一の発展家であった。
物語は雪子の見合いと妙子の起こす騒ぎを中心に蒔岡の姉妹たちを描く。

「本格ミステリー」(日本推理作家協会)

黒田研二「はだしの親父」
法月綸太郎「ギリシャ羊の秘密」
東川篤哉「殺人現場では靴をお脱ぎください」
柄刀一「ウォール・ウィスパー」
霞流一「霧の巨塔」
北森鴻「奇遇論」
米澤穂信「身内に不幸がありまして」
乾くるみ「四枚のカード」
北山猛邦「見えないダイイング・メッセージ」
渡邊太輔「(評論)自生する知と自壊する謎――森博嗣論」